2008年05月09日

ウォルフガング・シュルツ & イーゴリ・シャラポフ

[クラシック倶楽部を楽しむ] 本日のプログラム

[NHK BShi 4月30日放送分]

<プログラム1>

ウォルフガング・シュルツ &  ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団

(演奏曲目)
  1. 歌劇「ドン・ジョヴァンニ」 K.527 から ( モーツァルト作曲 /ウェント編曲 )
     序曲
     カタログの歌「奥さん、これが恋人のカタログ」
     「お手をどうぞ」
     「ぶってよマゼット」
     酒の歌「みんな楽しくお酒を飲んで」
 2. フルート四重奏曲 ト長調 K.285a から( モーツァルト作曲 )
     第2楽章

(演奏)
  フルート : ウォルフガング・シュルツ
  ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団
    バイオリン : ペーター・ウェヒター
    ビオラ : トビアス・リー
    チェロ : タマーシュ・ヴァルガ

  [ 収録: 2004年6月4日, トッパンホール ]

<プログラム2>

ロシアン・ブラス

(演奏曲目)
  1. 歌劇「ルスランとリュドミーラ」 序曲 ( グリンカ作曲 /イワノフ編曲 )
  2. バレエ音楽「くるみ割り人形」 から ( チャイコフスキー作曲 /オスコルコフ編曲 )
     “行進曲”
     “アラビアの踊り”
     “中国の踊り”
     “トレパーク (ロシアの踊り)”
  3. 「はげ山の一夜」 ( ムソルグスキー作曲 /ポージン編曲 )
  4. 歌劇「椿姫」 から ( ヴェルディ作曲 )
     “花から花へ”

(演奏)
  ロシアン・ブラス
    トランペット : イーゴリ・シャラポフ
    トランペット : アレクセイ・ベリャーエフ
    ホルン : イーゴリ・カールゾフ
    トロンボーン : マキシム・イグナティエフ
    チューバ : ヴァレンティン・アヴァクーモフ

  [ 収録: 2004年9月30日, 東京・紀尾井ホール ]

[所感]

ごきげんよう。「クラシック倶楽部を楽しむ」のクラシックマです。

本日の「クラシック倶楽部」は、アラカルトで、“ウォルフガング・シュルツ&ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団”と“ロシアン・ブラス”の演奏の2本立てです。

まず、<プログラム1>のウォルフガング・シュルツ&ウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団の演奏ですが、ここでは「ウォルフガング・シュルツのフルートの名人芸を堪能した。」の一言に尽きるのではないでしょうか。

それにしても、18世紀の宮廷貴族たちは音楽の楽しみ方を本当によく知っていたものだと感心してしまいました。

多分、18世紀にもシュルツのようなフルートの名手がいて、宮廷では人気が高かったのではないでしょうか。

そこに目をつけた宮廷音楽師の中から、編曲者ウェントのような人物が出てきて、これまた人気の高いモーツアルトの歌劇を、フルートのための室内楽曲に編曲してしまうという芸当をやってのけたというのですから驚いてしまいます。

宮廷貴族あっての宮廷音楽師という背景を考えると理解はできますが、才能とそれによって生活ができる人々の喜怒哀楽が見え隠れしていて面白いと思います。

さて、シュルツですが、フルートが出せるであろうあらゆる音色と音質・音量を変幻自在に、まるで音の手品師のように次から次へと演奏して聴かせてくれました。

また、バックに回ったウィーン・フィルハーモニア弦楽三重奏団は、シュルツの熱演に応えるように、チェロのタマーシュ・ヴァルガが「奥さん、これが恋人のカタログですよ」と慇懃丁寧に説明したり、ビオラのトビアス・リーが「お手をどうぞ」と甘い音色で誘いかけたりする様子が見事に演奏効果として表れていました。

シュルツは1946年生まれと紹介されていましたので、この演奏のときには57歳くらいになっていたと思われますので、木管楽器奏者の年齢としては円熟期の後半あたりになるのでしょうか、パワーとテクニックには衰えを感じさせませんでした。

とにかく、ウォルフガング・シュルツはフルート奏者のなかでは当代の名手の一人として挙げられることは間違いないでしょう。

次は、<プログラム2>のロシアン・ブラスの演奏です。

ロシアン・ブラスは、1996年にサンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団のブラスメンバーによって演奏活動が始められたと紹介されていましたが、本当にメンバーの一人一人が芸達者でびっくりしてしまいました。

中でも、トランペットのイーゴリ・シャラポフの演奏は絶妙で、時々ピッコロ・トランペットに持ち換えながらの演奏に、よくもここまで吹けるものだ、とただ聴き入るばかりでした。

もう一人のトランペット奏者のアレクセイ・ベリャーエフはシャラポフより大分若いようですが、偉大な先輩シャラポフに続かんとばかりに、やはり凄いテクニシャンなのです。

ベリャーエフが「はげ山の一夜」で夜明けを告げる鐘の音を吹いたのですが、それは全くトランペットではなく、まさに“鐘”の音に聞こえたのには驚きました。

美男のベリャーエフですから、ソリストとして演奏活動すればきっとファンが沢山つくタイプのように思います。

また、ホルンのイーゴリ・カールゾフとトロンボーンのマキシム・イグナティエフが「くるみ割り」のアラビアの踊りで奏でる不思議な和音の主旋律は、異国情緒に溢れていて引き込まれてしまいました。

カールゾフもイグナティエフも演奏の難しい楽器を吹いているという感覚ではなく、ハーモニーの中低部を気持ち良く歌っているようでした。

そして、このアンサンブルを下支えしているチューバのヴァレンティン・アヴァクーモフは、自然でとても美しい音色を聴かせていました。

このブログでは、アート・オブ・ブラス・ウイーンとマイリンスキー・ブラス・アンサンブルを取り上げたことがありますが、低音部の下支えということからすると、アヴァクーモフのチューバが最も優れていたのではないかと思います。

ロシアン・ブラスの5人の達人たちは、最後の「椿姫」でとうとう本性を現します。

シャラポフがあの巨体に赤いドレスをつけて、ピッコロ・トランペットを持って登場すると、チューバのアヴァクーモフが歩み寄って愛の告白をします。

そして最後には、椿姫ならぬシャラポフの周りに他の4人の奏者がひざまずいて演奏が終わる、という趣向で会場を沸かせました。

結局、真面目な顔をして演奏していたロシアン・ブラスのメンバーたちは、あれだけのテクニックで難しいことをやって聴かせながら、自分たちはまだ余裕で楽しんでいたということでしょうか。

クラシック音楽という世界で、ソリストたちの厳しい演奏が多い日常ですが、ロシアン・ブラスは本当に楽しくリラックスした時間を作ってくれたような気がしました。

本日の「クラシック倶楽部」では、フルートの手品師ウォルフガング・シュルツと、トランペットの道化師イーゴリ・シャラポフの2人の名手を中心としたアンサンブルの演奏を聴きましたが、完璧なテクニックというのはさらにその上に余裕というおまけがついていて、それで聴衆が楽しむことができるのだということが分かったようなひと時でした。

以上、「クラシック倶楽部を楽しむ」でした。
posted by クラシックマ at 15:41| Comment(1) | TrackBack(0) | クラシック倶楽部を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんかいいなぁ(・ε・)/
わたしもブログがんばろぉ(/・ω・)/

http://ameblo.jp/akasatanyanpoko/

Posted by at 2008年05月09日 16:13
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