2008年04月25日

アルカント・カルテット

[クラシック倶楽部を楽しむ] 本日のプログラム

[NHK BShi 4月17日放送分]

アルカント・カルテット

   バイオリン  アンティエ・ワイハート
   バイオリン  ダニエル・ゼペク
   ビオラ    タベア・ツィンマーマン
   チェロ    ジャン・ギアン・ケラス

(演奏曲目)

  ブラームス 弦楽四重奏曲 第1番 ハ短調 作品51 第1

(会場)

  王子ホール
  (2006年11月22日収録)

[所感]

本日の「クラシック倶楽部を楽しむ」は、NHKの「クラシック倶楽部」のクラシック・アラカルトからアルカント・カルテットのブラームスの弦楽四重奏曲第1番の演奏をとりあげます。

アルカント・カルテットは、日本でも根強いファン層を持つ、ジャン・ギアン・ケラスが名ビオラ奏者のタベア・ツィマーマンと共に2002年に結成したもので、バイオリンにはすでに彼らと共演経験を持つ、アンティエ・ワイトハースとダニエル・ゼペクが迎えられていて、強力なユニットとして高く評価されています。

“アルカント”という名前の由来は、イタリア語の“アルコ(弓)”と“カント(歌)”を組み合わせた造語だそうです。

また、ブラームスの弦楽四重奏曲第1番は、1873年に第2番と一緒に発表されました。

ブラームスは、その2年後に弦楽四重奏曲の第3番を発表してから、その後弦楽四重奏曲を作っておらず、ベートーベンが16曲の弦楽四重奏曲を作曲したことと比べると、たった3曲というのは少ないように思われます。

しかしながら、弦楽四重奏曲第1番の発表時期にはブラームスは40歳になっており、このすぐ後には交響曲第1番が20年以上の歳月をかけて発表されていることを考えると、この曲はブラームスの作曲活動の中で重要な部分に位置しているのではないかと思います。

さて、アルカント・カルテットが第1楽章を演奏し始めます。

何か、ブラームス特有の不安な旋律が、これから起きる苦悩の人生を予感させるように流れます。

自分はベートーベンのように簡単に作曲できるタイプではないのだ、と言っているようにも聞こえます。

第2楽章に入ると、ケラスのチェロが導入部の旋律を演奏して、それに全体のパートが乗るように、ロマンティックな音楽の世界が展開していきます。

このようにロマンティックな旋律が、静かに歌っているような情景を作り出せるのは、アルカントのメンバーがお互いに相手を見つめ合いながら、旋律の受け渡しを丁寧にしていたからではないかと思います。

第3楽章では、またブラームスの不安が現れます。

ブラームスが不安を抱えながら何かに向かって急ぎ足で歩いているような旋律が流れます。

途中でいきなり歩調を乱すような3拍子が現れて、ブラームスの行く手の障害物となります。

ブラームスは、それを避けるようにしてまた急ぎ足で歩きます。

どうも、ブラームスの心の中には、いつもベートーベンの音楽というものがあって、ブラームスの創作活動に影響を与え続けたようです。

しかし、第4楽章ではブラームスが開き直って、「これが僕の音楽さ!」と言っているようでした。

全パートが全弓を使ってダイナミックに作り出すハーモニーの見事さには、思わず感動してしまいました。

アルカントのメンバーの一人一人が、終始怒涛のような旋律の中で、調和を保ちながら自己主張をし、濁りのないはっきりとした輪郭を作っていました。

やはりこれだけの弾き手が揃うと、純正律的な和声が自然に生まれてくるのかも知れません。

ブラームスの弦楽四重奏曲を1曲聴いただけですが、アルカント・カルテットのアンサンブルの素晴らしさが、現代のトップをいくものだということを実感しました。

特に、チェロのケラスの下支えにより、アンサンブル全体の骨太でかつ繊細な感覚が映し出されていくところには感心させられました。

本日の「クラシック倶楽部」では、アルカント・カルテットの演奏は1曲でしたが、違う作品がこのユニットによってどのように表現されるのか、是非聴いてみたいと思いました。

以上、「クラシック倶楽部を楽しむ」でした。
posted by クラシックマ at 13:49| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック倶楽部を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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