2008年04月23日

アリーナ・イブラギモヴァ & ソル・ガベッタ

[クラシック倶楽部を楽しむ] 本日のプログラム

[NHK BShi 4月16日放送分]

アリーナ・イブラギモヴァ & ソル・ガベッタ

<プログラム1>

  バイオリン アリーナ・イブラギモヴァ

(演奏曲目)

  バッハ 無伴奏バイオリン・パルティータ 第2番 ニ短調 BWV1004

(会場)

  武蔵野市民文化会館
  (2005年10月21日収録)

<プログラム2>

  チェロ ソル・ガベッタ
  ピアノ ヘンリ・シーグフリードソン

(演奏曲目)

  ベートーベン チェロ・ソナタ 第5番 ニ長調 作品102 第2
  チャイコフスキー ノクターン 作品19 第4(フィツェンハーゲン編)

(会場)

  武蔵野市民文化会館
  (2005年11月17日収録)

[所感]

本日の「クラシック倶楽部を楽しむ」は、NHKの「クラシック倶楽部」がクラシック・アラカルトと称して企画した、アリーナ・イブラギモヴァのバイオリン・リサイタルとソル・ガベッタのチェロ・リサイタルの2本立てです。

まず、アリーナ・イブラギモヴァについては、すでにこのブログにも登場しており、イザイの無伴奏バイオリン・ソナタ第4番とバッハの無伴奏バイオリン・パルティータ第3番及びバルトークの無伴奏バイオリン・ソナタの3つの大曲を演奏しています。

今回のバッハの無伴奏バイオリン・パルティータ第2番は同じ日に演奏されたもので、放送時間の関係で前回の番組に入りきらなかった1曲のようです。

前回のブログでも書きましたが、イブラギモヴァの最大の特徴はボーイングが滑らかで本当にきれいなことです。

そのボーイングによって作り出されるバイオリンの音色はとても明るく、これぞイタリアトーンと思わせるものです。

番組の編集の関係で、イブラギモヴァがバッハの無伴奏バイオリン・パルティータ第2番だけを演奏することになったのは、聴く側にとってみるとイブラギモヴァをもっと深く理解する上で幸運なことであると思います。

さて、イブラギモヴァが無伴奏パルティータ第2番を弾き始めます。

アルマンド〜クラント〜サラバンドへとやや速めのテンポで進みますが、この若きバイオリニストは丁寧なボーイングで、できるだけバイオリンの弦から弓を離さないように弾いていきます。

バロック時代の譜面には、どこをどのように演奏するというような細かい指示はほとんど書きこまれていないのですから、この曲も演奏者によっていろいろな弾き方がされて当然です。

イブラギモヴァの演奏を聴いていると、現代弓を使っていながら古い時代のバロック弓を意識しているように感じました。

4曲目のジーグは速いテンポで、イブラギモヴァの若さが最も表現されても良いところですが、やはり弦から弓が離れないようなボーイングで、弾むところがなく、古典的旋律と音色を作っていたように思います。

このような奏法を自分なりに取り入れてバッハを聴かせようとする、恐るべき20歳です。

シャコンヌに入ると、イブラギモヴァの弦に弓を密着させて演奏する奏法は、聴衆を圧倒するほどに威力を発揮します。

第1部のクライマックスに当たるアルペジオの部分では、弦に密着した弓がアップ〜ダウンするボーイングにより、今まであまり聴いたことのない迫力のある美しい旋律が湧きだすように響き渡り、思わず感動してしまいました。

イブラギモヴァのもう一つの特徴は、曲の入りにテンポを決めたらその後はテンポを崩すことなく弾き続けていくというところです。

ですから、一つ間違えるとあたかも練習曲を演奏しているように聴こえてしまう危険性があります。

シャコンヌでは、いくつものフレーズが次々と現れて、旋律が変化していくところに面白味があるのですが、イブラギモヴァはフレーズとフレーズの継ぎ目でも“間(ま)”をとることがほとんどなく、曲全体にゆったり感というものが少し足りなかったように感じました。

逆に考えれば、聴衆はイブラギモヴァのダイナミックなボーイングから生まれてくる澄んだ純正律音階的和声に酔いしれて、息をつく“間”がないほど素晴らしい音楽の世界に導かれていたということなのかもしれません。

イブラギモヴァのバッハの演奏を1曲だけ聴くことによって、ますます彼女の技術的完成度の高さと、持って生まれた音楽性というものに強く感動を覚えました。

さて次は、ソル・ガベッタがベートーベンのチェロ・ソナタ第5番を演奏します。

ソル・ガベッタについては、アルゼンチン生まれのまだ20歳代前半という若さで、これからの活躍が期待されているチェリストの一人であるというテロップ説明がありました。

また、ベートーベンのチェロ・ソナタ第5番は、5曲作曲されたチェロ・ソナタの最後のもので1815年の作品であるとテロップ説明がありました。

ガベッタはやや小柄で、細い身体に白いドレスを着て登場しました。

ピアノのヘンリ・シーグフリードソンが立派な体格をしているので対照的でした。

第1楽章は、勇壮で速いテンポから始まります。

この時期のベートーベンは、難聴などによりかなり苦しい時期だったにもかかわらず、生き生きとした旋律が現れます。

ガベッタのチェロは少し細めですが透き通った音色を出します。

第2楽章になると、ゆっくりとしたベートーベンの苦悩というような旋律になります。

晩年にさしかかったベートーベンが自分はそもそもどこから生まれ出てきたのかと、問いかけているようです。

そして第3楽章になると、軽快なフーガ形式の旋律が現れます。

ここでは、チェロのガベッタとピアノのシーグフリードソンが端正な旋律の駆け引きを見事にやって見せます。

ガベッタは、全身を使ってチェロを弾き、躍動感のある旋律を奏でます。

何故か、この楽章はベートーベンが天上への階段を昇りながら救いの道を探しているようです。

ガベッタは、ベートーベンの後期の作品を瑞々しい若さの中で咀嚼して、楽しそうに演奏していたと思います。

ガベッタの演奏をあまり聴いたことがないので、この1曲をもって彼女の音楽性を云々することなどできませんが、確かなテクニックを持った演奏家だと思いました。

ガベッタはこの後、チャイコフスキーのノクターン作品19第4(アンコール?)を演奏しましたが、子守歌のように優しく聞こえてきました。

本日の「クラシック倶楽部」は、若手のアーティストとしてこれからのますますの成長が期待できるアリーナ・イブラギモヴァのバイオリンとソル・ガベッタのチェロの演奏を聴き、クラシック界の人材の層の厚さを改めて感じることができました。

以上、「クラシック倶楽部を楽しむ」でした。
posted by クラシックマ at 09:41| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック倶楽部を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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