2008年04月20日

シプリアン・カツァリス & タチャーナ・シェバノワ

[クラシック倶楽部を楽しむ] 本日のプログラム

[NHK BShi 4月14日放送分]

シプリアン・カツァリス & タチャーナ・シェバノワ ピアノ・リサイタル

<プログラム1>

シプリアン・カツァリス

(演奏曲目)

  グリーク:
    叙情小曲集 第3集、第5集 から
      孤独なさすらい人 作品43 第2
      スケルツォ 作品54 第5
      夜想曲 作品54 第4
      春に 作品46 第6
      こびとの行進 作品54 第3
  シューマン:
    こどもの情景 から
      トロイメライ 作品15 第7
    ロマンス 作品28 第2

(会場)
  浜離宮朝日ホール
  (2006年10月18日収録)

<プログラム2>

タチャーナ・シェバノワ

(演奏曲目)

  ショパン:
    バラード 第4番 ヘ短調 作品52
    幻想即興曲 作品66
    子犬のワルツ 作品64 第1
    エチュード 変ト長調 作品10 第5「黒鍵」
    スケルツォ 第1番 ロ短調 作品20

(会場)

  東京オペラシティコンサートホール
  (2005年11月20日収録)

[所感]

本日の「クラシック倶楽部を楽しむ」は、NHKの「クラシック倶楽部」がクラシック・アラカルトと称して企画した、シプリアン・カツァリスとタチャーナ・シェバノワの2つのピアノ・リサイタルです。

まず、<プログラム1>はシプリアン・カツァリスのピアノ演奏です。

若手ピアニストの活躍が著しいこの頃ですが、カツァリスは既に50歳代半ばになってしまって、過去にセンセーショナルであったピアニストの一人と思ってしまうほど目立たない存在になってしまったような気がします。

カツァリスは、ピアノによるベートーベンの交響曲の全曲演奏(リスト編)を成し遂げた20歳代後半から30歳代前半にかけて世界中の注目を集めていた時代や、1993年にNHKテレビで「ショパンを弾く」の講師をしていた時代があって、日本国内でもその超絶技巧的なテクニックと内面性の深い音楽表現で高く評価をされていたピアニストです。

そのカツァリスが今日のクラシック倶楽部に登場して、風貌にもそれなりの年輪を感じさせ、ピアノの小品ばかりを演奏したことに意外性を感じたのは私だけではなかったと思います。

しかしながら、わずか20分余りの短い時間の中で、カツァリスはグリークの小品5曲とシューマンの小品2曲という、わずか7曲を演奏しただけでロマンティックな詩を朗読したように聴衆を魅了してしまったのではないでしょうか。

その要因の一つとして、この日カツァリスの使用したヤマハのコンサートピアノが、カツァリスに素晴らしい反応をして、温かく粒ぞろいの音色を作り出していたことがあると思います。

ヤマハのピアノがコンサートに使われて、これ程までに心地よい旋律を歌い続けたことはあまり記憶にないような気がします。

カツァリスの超絶技巧で自分の世界を創造する演奏に驚かされていたことを思い出すと、今日のカツァリスは円熟の境地に達した詩人のようでした。

シューマンのロマンスはもちろんのことですが、グリークの全10巻、66曲からなる叙情小曲集から選ばれたわずか5曲についても、カツァリスによって心優しい旋律が語りかけるように演奏され、本当に心癒される時間が経過していきました。

次の<プログラム2>は、タチャーナ・シェバノワがショパンの作品を演奏します。

バラード第4番やスケルツォ第1番など5曲を演奏しましたが、どれをとっても、これぞショパンというポピュラーなものばかりで、しかも難易度の高い作品です。

モスクワ生まれのシェバノワですが現在はポーランドに住んでいて、ショパンの作品を演奏することをライフワークとしている、とテロップ説明がありました。

本当に、ピアニストの世界は多彩で素晴らしい演奏家がたくさんいるものです。

特に前のプログラムで、カツァリスの優しい旋律にすっかり酔いしれていたためか、シェバノワのショパンの演奏に移った途端、その迫力に圧倒されてしまいました。

スパンコールがキラキラと光る赤いドレスを着て、金髪で端正な顔立ちのシェバノワですが、ピアノの演奏では極めて男性的なように感じてしまいました。

でも、ただダイナミックというわけではなく、どの曲でもショパンの混成和声の中から主旋律が明瞭に浮かび上がってくるような演奏法なのです。

ですから、激しくピアノを弾いていても、そこにはショパンの華麗で切ないような旋律が響き渡って、思わず共感してしまいます。

シェバノワの演奏を聴いていると、やはりショパンだったらこのようにピアノを弾いたのかなと思わせるくらい激しいけれども切ないのです。

そのように納得しながら、シェバノワの5曲のショパンを聴いて、何か清々しさと切なさが交錯するような気持になっていました。

シェバノワの端正な表情は演奏中にもあまり変わることがなく、何事もなかったように演奏は終わりました。

本日の「クラシック倶楽部」は、シプリアン・カツァリスとタチャーナ・シェバノワのどちらかというと対照的な演奏を聴くことができて、とてもリラックスができたひと時でした。

以上、「クラシック倶楽部を楽しむ」でした。
posted by クラシックマ at 10:14| Comment(0) | TrackBack(0) | クラシック倶楽部を楽しむ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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